舞台美術プランとか劇場スタッフとか、

かつては写真とかもしてきた、松本謙一郎のサイト。


今(2010年〜)はもっぱらツイッター( @thinkhand / ログ )で、ブログとしては更新してませんが。
最近は主にもろもろの告知とアーカイブ、ポータル的編集記事など。

2008年あたりは、割と色々書いてます。






























スタミナ苑

スタミナ苑に行く。
知らなかったが、東京でトップレベルに旨いという焼き肉屋。
足立区鹿浜にある店で、他にある「スタミナ苑」という名前の店とは別。チェーンもないらしい。

店の外には行列。
一団がそろわないと入れないというルールで、全員がそろうのも含め1時間待ちで入店。


果たしてその味は、予想を超えて旨かった。

日本人は新鮮な魚を食することには、高い文化を持っている。
その多分にもれず、魚貝類で鮮度が違う旨さは実感・経験としてあったわけだが、肉で感じたのは初めてかもしれない。
ホルモン系などは、見たことがない色をしている。本当の臓器とは確かにこんなに生々しいのだ、と感じる。
他のものは、鮮やかに紅色で美しい。
レバーのみならず、生でもいけそうに見える。
実際、下味のみで軽く火を通し、レアなままで充分に旨い。
タレの漬け込みが旨い、なんていう焼肉には今まで誤摩化されてきていたのか、と思うほど。

一般的に、脂が少なく低級な肉ほど腹がいっぱいならないと聞いたが、ここの肉は脂っ気もほどよく、まだまだ味わいたいうちに満腹になって、ビールとライスを頼んだのを後悔した。
しかし、肉がご飯を進める旨さなのもまた事実なのがジレンマ。
並盛りに抑えてみたのだが、二杯いってしまった。

季節のものであるというオススメ「トウガンスープ」がまた、さっぱりとした味でシンプルに旨い。
とどめに、デザートの杏仁豆腐は、手作りの食感とボリュームで濃厚な味わい。
どちらも肉と同じに、素材の旨さが前に出ている感じがする。


しかし、この旨さの秘密、違いはどこから来るのだろうか?
上ミノの下味に塩コショウと、少々のナツメグでも入っているのではないだろうか?というのは食べていて気がついた。
口当たりにやわらかいのは、「細かく包丁が入っていて酒につけこんでもある」というのは、後でネットで調べて見つけた。下味の旨さが効いていたわけだ。

調べたところだと、肉の場合「鮮度」といってもシメてすぐがベストなのではなく、一定の日数とかあるらしい。冗談に話していた「店の裏でシメているんじゃないのか(というほど新鮮で旨い)」ということはないようだ。実際、そんなスペースも見当たらなかったし。
ただ、これほどシンプル・ストレートな料理で、これほど味の違いが出るのだ。
小細工ではなく、まさに鮮度が違うはず。
牛そのものの違いとか、鮮度の違いにおいて何か流通〜仕込みまでの過程で、何か普通と違う工夫があるに違いない。

入店してからでもオーダーは出来るが、並んでいるうちにオーダーをとる、というあたりにも何か秘密があるかもしれない。つまり、出す直前にかけるひと手間はきっちりかけているとか。

いずれにせよ、素朴な店構え・過度ではないサービス(しかし上着に匂いがつかぬよう、ビニール袋に入れてあずかる / こまめに鉄板を換える要求に対応してくれ、すぐに焼けるよう暖めてある、、、などなかなか細やか。しかし、必要以上に愛想よくしたりはしない)からして、、、
実は「当たり前」のことを、すごくちゃんと徹底しているだけなのではないかと思う。
ふだん食う、安い肉ではその「当たり前」のことが効率化でないがしろにされているだけなのではないか?と想像したが、どうだろう。
当たり前のことをちゃんとして、素材の良さで勝負する、ということは色々なすべての事に通じるのかもしれないと思った。